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会社が従業員を解雇できる種類と解雇が成立する要件とは

進学・就職・転職活動を成功させるには

最後まで諦めないことです

会社が従業員をクビにできる解雇の種類と解雇ができる条件

従業員に命じることができる解雇の種類

解雇の種類

解雇とは、従業員の意思に関係なく会社が一方的に労働契約を解約してしまう行為のことで、正当な理由がある場合に限り認められています。

解雇には、懲戒解雇、普通解雇、整理解雇、諭旨解雇の4種類があります。

それぞれの解雇の違いを見ていきましょう。

懲戒解雇(ちょうかいかいこ)
会社内で、荷物の窃盗、金品の横領、犯罪行為などの重大な規則違反、2週間以上の無断欠勤をした場合は解雇できます。
但し、解雇の理由は会社が認める理由ではなく、社会的な考え方によって認められなければいけません。社会的な判断で認められなければ不当解雇となります。
普通解雇
従業員の勤務態度(出勤、欠勤、遅刻など)などが極めて悪く、注意しても改善されない場合に解雇できます。
但し、従業員に何かしらの問題がある場合のような解雇する為の正当な理由があればいいのですが、正当な理由がなく解雇すると不当解雇になります。また、解雇する時は労働基準法第20条の内容に従わなければいけません。
整理解雇
整理解雇とは、会社の経営不振を原因として、このまま営業を続けると経営が良くならない時に会社からの一方的な理由によって従業員が解雇(リストラ)されることです。
整理解雇は、会社の経営を立て直す時に認められる解雇なので、解雇する時は整理解雇の4要件の内容をクリアしている必要があります。
諭旨解雇(ゆしかいこ)
諭旨解雇は、懲戒解雇で解雇されるところを情状酌量することによって、自己都合退職を勧める解雇方法です。
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会社が従業員を整理解雇(リストラ)することができる要件とは

会社にリストラされる従業員

経営不振を理由に従業員の数を減らす解雇のことを整理解雇(リストラ)といいますが、会社の経営が思わしくなく業績が悪いので従業員を整理解雇しますと発表しても、ある条件をクリアしなければ整理解雇はできません。

整理解雇をするには整理解雇の4要件というものがあり、次の4つの要件をクリアしなければ行えないことになっています。

1.整理解雇を行わなければ、会社の健全な経営が維持できないのか?
整理解雇以外の方法ではいけないのか、整理解雇が本当に必要なのか問われます。
2.整理解雇を行う前に、整理解雇を回避する為の策を講じたのか?
例えば、希望退職者の募集をする、グループ企業に出向させる、従業員の新規採用の停止をする、残業やボーナスのカットなどを行う必要があります。
3.整理解雇される従業員を選ぶ時、合理的であり公平に選ばれているか?
会社の中に正社員の他に、契約社員、派遣社員のような雇用期間の定めがある従業員が働いている場合は、正社員より派遣社員や契約社員が初めに辞めてもらう人員として選ばれるべきです。また、正社員の中では会社へ利益をもたらしていない方が選ばれるべきです。
4.会社は、整理解雇される従業員や労働組合と話し合って納得してもらったのか?
会社は、従業員や労働組合に対して、整理解雇の必要性や規模、実施する時期や方法などについて説明して、整理解雇が妥当であると納得が得られるように努力しなければいけません。

上記の条件が整って初めて整理解雇が行える状態になるということは、整理解雇を行うには会社にとってハードルが高いということなので、多くの場合は、退職金の額をアップさせて希望退職者を募集して人員を減らす方法を取っています。

なお、会社が運悪く倒産してしまって賃金の未払い部分がある場合は、政府が行っている未払賃金立替払制度が活用できるので未払い賃金の8割が支払われます。

解雇っていったいどのような時にできるの?

会社に解雇される従業員

上記で解雇の種類と整理解雇の説明しましたが、そもそも、解雇をすること自体が難しいというならば解雇ってどんな時に行うことができるのでしょうか?

もし、みなさんが勤めている会社から「明日から来なくていいよ解雇するから」と言われたらどうしますか?

そんなことを急に言われたら困りますよね。

従業員が不当に解雇されないように、労働基準法第20条には、次のような内容が書かれています。労働者を解雇しようとする場合は、少くとも30日前に解雇する予告をしなければならない。30日前に予告をしない企業は、30日分以上の平均賃金を支払わなければならない。但し、天災事変などの事由のために事業の継続が不可能となった場合と、労働者がどう考えても解雇される理由を作ってしまい解雇される場合はあてはまらない。

また、労働契約法第16条には次のように書かれています。解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。

このように、解雇するには、正当な理由がなければできませんし、解雇する30日以上前に従業員に伝えなければ成立しません。正当な理由がないのに、明日から来なくていいなんてことはできませんので安心してください。

よくあるトラブルとしては試用期間中の解雇です。試用期間は労働者の能力を判断する為に有期労働契約(契約社員など)で契約することが多く、試用期間終了後に正社員として本採用しない場合は終了日をもって契約は終わってしまいますが、試用期間中に会社の一方的な理由で解雇することは認められません。

今まで説明してきたように会社は従業員に対して解雇をすぐにできないことが理解できたと思いますが、いったいどのような時に解雇が成立するのでしょうか?

それは、2週間以上の無断欠勤をした従業員や、会社内で窃盗・横領・犯罪などを起こした従業員は即刻解雇されます。

勤務している会社の就業規則には目を通しておこう

就業規則を読む従業員

就業規則とは、従業員が会社で働くルール(賃金、休日、残業、勤務時間、昇給、退職金、解雇など)を定めたもので、常時10人以上の労働者を雇っている会社では、就業規則を作成して労働基準監督署へ届け出ないといけないことになっています。

解雇については、雇われている会社が作成した就業規則に書かれているので一度目を通しておきましょう。就業規則がない会社では労働基準法を読んでください。

但し、就業規則に従業員が不利になるようなこと(労働基準法に違反すること)が書かれている部分は、労働基準法が優先されるようになり就業規則の効力はありませんので従業員の方は安心してください。

就業規則が優先されると勘違いしている経営者がたくさんいますが、サラリーマンの方は就業規則が必ずしも優先される訳ではないことを覚えておきましょう。

会社が言っていることはおかしいと感じた時は、厚生労働省が運営している公的機関の無料の相談窓口(総合労働相談コーナー、労働基準監督署、ハローワーク)に行って相談することをおすすめします。

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