残業代は、実際に時間外労働をした時間数に応じて25%割増賃金が支払われ、休日出勤手当や深夜勤務手当は割増賃金が別途支給されるのが正しい対応ですよね。
しかし、最近の給与の内訳は複雑になっていて、固定残業代制を採用している企業が多くあります。
昔の給与の内訳といえば、
というのが当たり前でしたが、固定残業代制を採用している会社では、
という給与スタンスをとっています。
固定残業代制の何が悪いのかというと、求人票に給与20万円としか書かれていない場合は給与の内訳がどうなっているのかわからないことです。
例えば、給与20万円としか書かれていない求人票よりも、基本給17万円、固定残業手当3万円(時間外労働30時間分)、合計20万円と書かれていた方がわかりやすいですよね。
このように、給与には基本給と何時間分の残業手当を含んでいるのかを明確にわかるようにしなければいけません。
また、従業員には固定残業代のみを支払えばいいのかというとそうではなく、固定残業時間数を超えた残業時間は残業代を別途支払わなければいけないことになっています。
ですので、残業をたくさんしているのに固定残業代しか支給されていないという方は、厚生労働省が運営している公的機関の無料の相談窓口(総合労働相談コーナー、労働基準監督署、ハローワーク)に行って相談してください。あくどい会社は固定残業代のみ支払い、固定残業代を超えて働いた残業時間には別途残業代をを支払わないケースが多いので注意してください。
残業代は、従業員が時間外労働を何時間したかという時間数によって、会社から支払われる残業代の金額が決まりますが、みなし残業代を採用している会社は、何時間残業してもあらかじめ決められている一定額の残業代(みなし残業代)の手当しか支給しません。
みなし残業代を採用している会社の給与の内訳は、
となっており、残業代は一定金額しか支払わないスタンスをとっています。
※みなし残業代は会社によって異なり、3万〜5万円くらいの金額が多いです。
では、労働基準法ではどうなっているのかというと、労働基準法の第37条では、1時間あたりの残業代は、基本給を時給に換算して25%の割増賃金を付加した金額が残業した時間数に応じて従業員に支給されることになっています。
また、労働基準法の第32条では、1日8時間、1週間で40時間を超えて会社が従業員を働かせることはできないと定められていますが、従業員に残業を命じる場合は、時間外労働・休日労働に関する協定(36協定:サブロク協定)を締結し、労働基準監督署長へ届け出て、就業規則や労働契約に残業をさせることができる旨を記載すればできるようになります。
みなし残業代を採用する会社は、長時間の労働を強制させる労働環境の場合が多いので注意してください。
みなし労働時間制には、裁量労働制と事業場外みなし労働制の2種類があります。
どちらの種類のみなし労働時間制でも、実際に働いた時間数に関わらず一定時間働いたこととみなす制度です。
また、裁量労働制は、専門業務型裁量労働制と企画業務型裁量労働制の2種類があり、どちらの種類の裁量労働制でも裁量にゆだねなければ困難な専門的な業務に限り適用することができます。
裁量労働制を採用している会社では、1日8時間働いても9時間働いても給与は同じ金額となります。
※裁量労働制は、深夜勤務と休日出勤した場合は割増賃金の支払いの対象となります。
サラリーマンの方で、裁量労働制と年棒制を混同している方が見えますが、年棒制とは、年棒額を12で割った金額が毎月給与として支払われ、年棒額は所定労働時間に対しての金額なので、残業代、深夜勤務代、休日出勤代は別途支払われるのが正しい扱いです。
但し、管理職の役職がある方は残業代と休日出勤代は支給されません。また、管理職以外の従業員の方では、年棒制と裁量労働制を同時に採用している会社では残業代は支給されません。
労働基準法の第41条では、管理・監督の地位にあたる者は残業代と休日出勤の賃金の支払いの対象外とされています。
※深夜勤務の割増賃金は支払うことになっています。
一般企業で働いている管理監督者の方は残業代と休日出勤の賃金は支給されませんが、フランチャイズなどのチェーン経営で雇われている管理・監督者(店長)は管理・監督者にはあたらないので残業代と休日出勤の賃金は支給されるのが普通です。
管理・監督者は残業代がもらえないので給与が減ると思っている方が見えますが、役職を与えられている従業員は残業代を支給されないことを踏まえて、高額な役職手当が設定されているので給与は減らないことが多いです。